「吉本隆明の声と言葉。」編集構成 糸井重里を聴き読んで

 「吉本隆明の声と言葉。」のCD(講演)を聴き、bookを読んでの感想を書いてみる。
 bookに「平らだと言われて、それは、当たっていて、かつ、いい感じです。」(p22)の中の「吉本さんの自己認識」(p23)というところがある。その中で糸井重里さんが次のように話をしている。

講演のテープを聞くと、一人称をなるべく使わないで、まず、「あ、吉本です」からはじまります。あの自己認識の遠慮のような部分は、吉本さんの全体の中にいつもあるような気がして、僕らは、とってもそれが、気持ちがいいですね。  (p25) 

 糸井さんは吉本さんが「平らな感じ」をしているとも言っている。はじめて私は吉本さんの声を聞いたが、糸井さんと同じような感想をいだいた。声を聞くまえまではもっと怖い印象を持っていた。
 また、bookに「街の循環速度と自分精神的な速度とが合わなければ人はいらだちます。それが凶悪と言われるような犯罪が起こる真の理由です。」(p36)というところがある。速度の差がストレスを生むということであるが、非常におもしろい考え方であると思った。きっとそういう要因があるのだろう。
 CDの講演を聴いた中で興味がある内容があったので記しておく。
 『15「言葉以前の心について」より(1982年)』の内容はとても驚くものがあった。糸井さんの解説で三木成夫さんの『胎児の世界』(中央公論新社)がこの講演の話のもととなっている、と述べていた。後日読んでみようと思う。
 『17「シモーヌ・ヴェーユの意味」より(1979年)』の内容は、もっと掘り下げて知りたいものであった。解説によると『<信>の構造2』(春秋社・2004年)にこの内容が収められているそうだ。後日読むことにする。
 『28「親鸞の還相について」より(1988年)』の内容も興味のあるものであった。解説によると『未来の親鸞』(春秋社・1990年)に内容が収められている。前述した著書も含めて順に読んでみることにする。
 特典として2本の講演がついている。さっそく近日中に聴いてみようと思う。

吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜 (Hobonichi books)

吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜 (Hobonichi books)