「日本文化の形成」宮本常一著を読んで
梅田望夫さんが最近読んだ本として紹介していた「日本文化の形成」を読んでみて、おもしろかったところを書いてみようと思う。
「2、日本文化に見る海洋的性格」(p43)の中の「1、倭人の源流」(p44)の中に
このようにして朝鮮半島を経由して、大陸南部から日本列島へ渡来する人びとの前に、南の海から日本列島へ渡来して来たものも多かったと見られるのである。そしてこの人たちのもたらしたものが、弥生式文化ではなかったと考える。つまりこの文化は東アジアの沿岸伝いに日本列島にもたらされたもので、海洋性の強いものであるとともに、稲作をもたらした。しかもその稲作には鉄文化が付随していた。それがまた構造的な舟を造るのに大きな役割を果たしたと考える。 (p56)
と作者が述べているところがある。
この前の「1、日本列島に住んだ人びと」(p7)のなかで作者は、もととも日本には「エミン」と呼ばれる毛深い漁撈と狩猟を営む人々が住んでいた、と主張している。そこに前述したように貧毛の渡来人がが日本にきて、稲作と鉄文化を伝えたのであると作者は推測している。
そして朝鮮半島を経由せず南の海から稲作と海洋性の強い文化が伝えられたと、作者は推測しているのである。
この作者の持論は、私はとても面白いものであると思った。なぜならば、この著書を初めから読みすすめていくと、この持論もありうるとだんだん思えてきたからである。住居が高床式に変わっていったことなどは非常に説得力があったと思う。
また、「3、日本における畑作の起源と発展」(p107)もとても興味深く読め、「宮本常一年譜」もまだあまり作者を知らない私にはとても参考になった。この年譜は今後どのような著書を読むかを考えるのに非常に役にたつと思う。
- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/09
- メディア: 文庫
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