『神の子どもたちはみな踊る』村上春樹著を読んで

神の子どもたちはみな踊る」の中に

二日酔いで苦しい思いをしているときには、いつもテレビで朝のワイドショーを見るんだという友人がいた。そこに登場する芸能レポーターたちの耳ざわりな魔女狩りの声を聞いていると、前夜から胃の中に残っているものが、うまく吐けるということだった。  (p82)

という一節がある。なかなか面白い表現だ。今度一度試してみる価値があるかもしれない。
それにしても今だに「耳ざわりの魔女狩りの声」がいつもテレビから流れてきている。なんとかしてもらいたいものだ。
タイランド」の中に

生きることと死ぬることは、ある意味では等価なのです、ドクター  (p142)

という一節がある。とても印象的な言葉だ。
この短編の中ではこの「タイランド」が印象に残る作品であった。
また、「かえるくん、東京を救う」はとてもおもしろく読ませてもらった。どの作品をとっても粒ぞろいである感じがした。

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

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