『渋沢家三代』佐野眞一著を読んで

栄一の余人に真似できないところは、単に耳学問にとどまるのではなく、それがよいと思ったらすぐに実践してみせるところである。 (p58)

 とかく頭ではよいと思っていても実践しない、またできずにいることが多いものだ。すぐに実践すること、それが必要であると思う。

栄一はふだんから、国家の財政は歳入の見込みが立ってから歳出を算定するのが健全なあり方だ  (p75)

 当然国家だけではなく民間の企業や一般家庭においてもこうあるべきであると考えられる。

「あのときは悲しかったよ。悲しくて悲しくてしょうがなっかた。命令されたり、動物学はいかんといわれたら僕も反発していたかもしれない。だけどおじいさんはただ頭を下げて頼むというんだ。七十すぎの老人で、しかもあれだけの仕事をした人に頼まれると、どうにもこうにも抵抗のしようがなかったよ」  (p188)

栄一が孫の敬三に自分の創設した銀行の跡をとってもらいたい、と頼み込んだ一節である。一番印象に残った部分であった。
 その他にも心に残る部分が多数あり、教訓となる言葉が数多くあった。私にとっては敬三が一番心に残る人物であるし、心ひかれるものがとてもある。

渋沢家三代 (文春新書)

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